ISBN:4061851896 文庫 島田 荘司 講談社 1992/07 ¥650

島田 荘司 著 「斜め屋敷の犯罪」 ★★★☆

北海道の最北端,宗谷岬の高台に斜めに傾いて建つ西洋館。「流氷館」と名づけられたこの奇妙な館で,主人の浜本幸三郎がクリスマス・パーティを開いた夜,奇怪な密室殺人が起きる。招かれた人々の狂乱する中で,またもや次の惨劇が・・・・・。恐怖の連続殺人殺人の謎に挑戦する名探偵・御手洗潔。本格推理名作。


恥ずかしながら島田作品は,「占星術殺人事件」しか読んだことがなかったのね。久しぶりにガチガチの本格モノが読みたくなって,ある書評サイトを覗いたら,島田作品の中で「占星術・・・」よりも一押ししていたので,手に取った次第だ。

いやしかし・・・,スケールがでかいわ。殺人事件が起こる舞台である「流氷館」が,ただの舞台として終わることなく,あんな意味をもっていたなんて・・・。

何度か言ってるけど,私は「このトリックを解き明かしてやろう」ってな意気込みでミステリを読むことはしない。読み進めているうちに途中でトリックが分かってしまうことはあっても,最後の最後で探偵が滔々と語るトリックに,深い感銘を受けて溺れたいのだ。そしてこの作品,これを解き明かした人がいたとしたら,ホント尊敬するってくらい,とんでもないトリックが用意されている。そういった意味においてでは本作は秀逸であるけれど,あまりにもスケールが大きく自分のキャパシティを大幅に超えてしまったために,評価を適正に下せない・・・・・。

この作品で最も気に入ったフレーズを紹介しておこう。

「なるほどな,理屈であり得ない密室殺人は,やっぱりあり得ないってわけか・・・・・」
私はいった。
「論理性は信じないとね」
御手洗が言った。

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