西澤 保彦の「仔羊たちの聖夜(イヴ)」読了
2005年2月19日 読書
ISBN:4043540027 文庫 西澤 保彦 角川書店 2001/08 ¥650
西澤 保彦 著 「仔羊たちの聖夜」 ★★★☆
事件はさておき(おいおいっ),本作では三人組の出会いが書かれてる。やっぱりこのシリーズで楽しみなのは三人組(ウサ子も入れると四人組だけど)の過去や成長であって,本作ではその過去を少し見せてくれた。今後の展開にも期待を持たせてくれる意味合いでとっても楽しめた。
いったい,タックとタカチの過去には何があったんだろう。そしてこの二人は今後どのようになっていくのだろう。想像するだけで楽しい。そしてボアン先輩。こやつも気になる。
事件の方も今回はある程度納得できる着地をみせてくれて,このシリーズの中ではかなり満足度の高い作品でした。
西澤 保彦 著 「仔羊たちの聖夜」 ★★★☆
通称タックこと匠千暁,ボアン先輩こと辺見祐輔,タカチこと高瀬千穂―――。キャンパス三人組が始めて顔を突き合わせた一年前のクリスマスイブ。彼らはその日,女性の転落死を目のあたりにしてしまう。遺書,そして動機も見当たらずに自殺と結論づけられた事件の一年後,とあるきっかけから転落死した女性の身元をたどることになった彼らが知ったのは,五年前にも同じビルから不可解な転落死があったということ。二つの事件には関連があるのか?そして今また,新たな事件が・・・・・。二転三転する酩酊推理,本格ミステリシリーズの逸品!
事件はさておき(おいおいっ),本作では三人組の出会いが書かれてる。やっぱりこのシリーズで楽しみなのは三人組(ウサ子も入れると四人組だけど)の過去や成長であって,本作ではその過去を少し見せてくれた。今後の展開にも期待を持たせてくれる意味合いでとっても楽しめた。
いったい,タックとタカチの過去には何があったんだろう。そしてこの二人は今後どのようになっていくのだろう。想像するだけで楽しい。そしてボアン先輩。こやつも気になる。
事件の方も今回はある程度納得できる着地をみせてくれて,このシリーズの中ではかなり満足度の高い作品でした。
島田 荘司の「斜め屋敷の犯罪」
2005年2月19日 読書
ISBN:4061851896 文庫 島田 荘司 講談社 1992/07 ¥650
島田 荘司 著 「斜め屋敷の犯罪」 ★★★☆
恥ずかしながら島田作品は,「占星術殺人事件」しか読んだことがなかったのね。久しぶりにガチガチの本格モノが読みたくなって,ある書評サイトを覗いたら,島田作品の中で「占星術・・・」よりも一押ししていたので,手に取った次第だ。
いやしかし・・・,スケールがでかいわ。殺人事件が起こる舞台である「流氷館」が,ただの舞台として終わることなく,あんな意味をもっていたなんて・・・。
何度か言ってるけど,私は「このトリックを解き明かしてやろう」ってな意気込みでミステリを読むことはしない。読み進めているうちに途中でトリックが分かってしまうことはあっても,最後の最後で探偵が滔々と語るトリックに,深い感銘を受けて溺れたいのだ。そしてこの作品,これを解き明かした人がいたとしたら,ホント尊敬するってくらい,とんでもないトリックが用意されている。そういった意味においてでは本作は秀逸であるけれど,あまりにもスケールが大きく自分のキャパシティを大幅に超えてしまったために,評価を適正に下せない・・・・・。
この作品で最も気に入ったフレーズを紹介しておこう。
島田 荘司 著 「斜め屋敷の犯罪」 ★★★☆
北海道の最北端,宗谷岬の高台に斜めに傾いて建つ西洋館。「流氷館」と名づけられたこの奇妙な館で,主人の浜本幸三郎がクリスマス・パーティを開いた夜,奇怪な密室殺人が起きる。招かれた人々の狂乱する中で,またもや次の惨劇が・・・・・。恐怖の連続殺人殺人の謎に挑戦する名探偵・御手洗潔。本格推理名作。
恥ずかしながら島田作品は,「占星術殺人事件」しか読んだことがなかったのね。久しぶりにガチガチの本格モノが読みたくなって,ある書評サイトを覗いたら,島田作品の中で「占星術・・・」よりも一押ししていたので,手に取った次第だ。
いやしかし・・・,スケールがでかいわ。殺人事件が起こる舞台である「流氷館」が,ただの舞台として終わることなく,あんな意味をもっていたなんて・・・。
何度か言ってるけど,私は「このトリックを解き明かしてやろう」ってな意気込みでミステリを読むことはしない。読み進めているうちに途中でトリックが分かってしまうことはあっても,最後の最後で探偵が滔々と語るトリックに,深い感銘を受けて溺れたいのだ。そしてこの作品,これを解き明かした人がいたとしたら,ホント尊敬するってくらい,とんでもないトリックが用意されている。そういった意味においてでは本作は秀逸であるけれど,あまりにもスケールが大きく自分のキャパシティを大幅に超えてしまったために,評価を適正に下せない・・・・・。
この作品で最も気に入ったフレーズを紹介しておこう。
「なるほどな,理屈であり得ない密室殺人は,やっぱりあり得ないってわけか・・・・・」
私はいった。
「論理性は信じないとね」
御手洗が言った。
浦賀 和宏の「彼女は存在しない」読了
2005年2月19日 読書
ISBN:4344404416 文庫 浦賀 和宏 幻冬舎 2003/10 ¥720
浦賀 和宏 著 「彼女は存在しない」 ★★★★
ひょっとしたら浦賀作品の中で1番かも。
デビュー作からの3部作(勝手にそう思ってる)も,衝撃的だったけど,単品で評価するならばコレかと思わせたくらい凄い。
ここでネタバレしたい気持ちでイッパイだが,ここがミステリ書評としての辛いところ。この気持ちを汲んでいただいて,ぜひとも書店で手に取っていただきたい。
しかし・・・,講談社以外から上梓される作品の方が面白いなー。これからも彼には幅広く活躍してもらいたいもんですな。
浦賀 和宏 著 「彼女は存在しない」 ★★★★
平凡だが幸せな生活を謳歌していた香奈子の日常は,恋人・貴治がある日突然,何者かに殺されたのを契機に狂い始める・・・・・。同じ頃妹の度重なる異常行動を目撃し,多重人格の疑いを強めていた根本。次々と発生する凄惨な事件が香奈子と根本を結びつけていく。その出会いが意味したものは―――。ミステリ界注目の,若き天才が到達した衝撃の新領域!
ひょっとしたら浦賀作品の中で1番かも。
デビュー作からの3部作(勝手にそう思ってる)も,衝撃的だったけど,単品で評価するならばコレかと思わせたくらい凄い。
ここでネタバレしたい気持ちでイッパイだが,ここがミステリ書評としての辛いところ。この気持ちを汲んでいただいて,ぜひとも書店で手に取っていただきたい。
しかし・・・,講談社以外から上梓される作品の方が面白いなー。これからも彼には幅広く活躍してもらいたいもんですな。
森 博嗣の「スカイ・クロラ」読了
2005年2月19日 読書
ISBN:4120031586 単行本 森 博嗣 中央公論新社 2001/06 ¥1,785
森 博嗣 著 「スカイ・クロラ」 ★★★
森ワールド全開の作品。
読者置いてけぼりの個人趣味作品。
そんな風に評されても仕方ないような・・・。
それでも森のタッチや感性は好きだし,内包されたメッセージっていうか言いたいことも分かるような気がするので,断定的にダメ作品と切って捨てることはできないな。
これから森作品を読もうかと思っている方がいらしたら,この作品から読むのはお勧めできない。やはり基本にS&Mシリーズからどうぞ。
森 博嗣 著 「スカイ・クロラ」 ★★★
僕は戦闘機のパイロット。飛行機に乗るのが日常。人を殺すのが仕事。二人の人間の命を消したのと同じ指でボウリングもすれば,ハンバーガも食べる。戦争を仕事にしなくては生きられない子どもたちの寓話。森博嗣,渾身の新境地!
森ワールド全開の作品。
読者置いてけぼりの個人趣味作品。
そんな風に評されても仕方ないような・・・。
それでも森のタッチや感性は好きだし,内包されたメッセージっていうか言いたいことも分かるような気がするので,断定的にダメ作品と切って捨てることはできないな。
これから森作品を読もうかと思っている方がいらしたら,この作品から読むのはお勧めできない。やはり基本にS&Mシリーズからどうぞ。
大沢 在昌の「ニッポン泥棒」読了
2005年1月30日 読書
ISBN:4163236309 単行本 大沢 在昌 文藝春秋 2005/01/15 ¥2,000
大沢 在昌 著 「ニッポン泥棒」 ★★★★☆
本屋さんで2度手に取っては棚に戻しを繰り返し,3度目に手に取ってやっとレジに持っていくという,買うべきかどうかをさんざん悩ませてくれた本です(笑)
でも買って大正解だった。改めてこういうパソコンとか最先端の技術系を扱った作品が好きなんだなと実感。
スケールのでかい内容なのに,登場人物の主格達が等身大というか身近に感じさせるキャラクタに設定したことで,現実味を帯びた世界となり,話だけが一人歩きすることなく見事な展開を見せてます。スケールがでかいといえば,松岡圭祐の千里眼シリーズがあるけど,あれは登場人物も破格で,まるで現実的じゃないからねぇ。まぁあれはあれで良いんだけどさ。
とりあえず今年一発目のヒット作。ラストをもう少し書いてくれたら満点をだせたのになぁ〜と思うとホント残念です。
大沢 在昌 著 「ニッポン泥棒」 ★★★★☆
『産経新聞』連載を単行本化。未来完全予測ソフトをめぐり,恐るべき争奪戦が始まった! 世界各国の諜報機関のデータを盗み出した末に作られた未来予測ソフトが完成。それを解凍する鍵を握らされた男女に魔の手が迫る!失職し,妻にも去られた男・尾津は,見ず知らずの男に「あなたと,もう一人の女性が,世界を変えるソフトウェアの鍵なのだ」と告げられる。突然の出来事に驚く尾津。そして様々な諜報機関が彼を囲い込むべく動き始めます。やがて見えてきたソフトの正体は,世界中の機密情報を盗み出した末に作られた未来予測ソフト「ヒミコ」でした。これを開発した集団に,ソフト解凍の鍵を「握らされた」尾津と,もう一人の女性・かおるの運命は? 膨張するネット社会の恐怖を描いた傑作です。
本屋さんで2度手に取っては棚に戻しを繰り返し,3度目に手に取ってやっとレジに持っていくという,買うべきかどうかをさんざん悩ませてくれた本です(笑)
でも買って大正解だった。改めてこういうパソコンとか最先端の技術系を扱った作品が好きなんだなと実感。
スケールのでかい内容なのに,登場人物の主格達が等身大というか身近に感じさせるキャラクタに設定したことで,現実味を帯びた世界となり,話だけが一人歩きすることなく見事な展開を見せてます。スケールがでかいといえば,松岡圭祐の千里眼シリーズがあるけど,あれは登場人物も破格で,まるで現実的じゃないからねぇ。まぁあれはあれで良いんだけどさ。
とりあえず今年一発目のヒット作。ラストをもう少し書いてくれたら満点をだせたのになぁ〜と思うとホント残念です。
舞城 王太郎の「煙か土か食い物」読了
2005年1月30日 読書
ISBN:406274936X 文庫 舞城 王太郎 講談社 2004/12 ¥580
舞城 王太郎 著 「煙か土か食い物」 ★★★
小説の良し悪しの前に,すげー読みづれー。「圧倒的文圧を体験せよ!」とか帯にあるけど,違った意味で圧倒されたわ。しかもなんで印刷文字が小さいんだろ?
世間でなかなか評判が良いんで,どうせ読むならデビュー作からだろと思って手に取ってみたが,これはちょっと受け付けないねー。こういう書きなぐったような文体が今は売れるのでしょうか?文体はともかく内容にしても,ご都合主義的な展開でちょっとがっかりですよ。メフィスト賞ってホント基準が分からんな〜。
舞城 王太郎 著 「煙か土か食い物」 ★★★
腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが?ヘイヘイヘイ,復讐は俺に任せろマザファッカ!!故郷に戻った四郎を待つ血と暴力に彩られた壮絶なドラマ。破格の物語世界とスピード感あふれる文体で著者が衝撃デビューを飾った第19回メフィスト賞受賞作。
小説の良し悪しの前に,すげー読みづれー。「圧倒的文圧を体験せよ!」とか帯にあるけど,違った意味で圧倒されたわ。しかもなんで印刷文字が小さいんだろ?
世間でなかなか評判が良いんで,どうせ読むならデビュー作からだろと思って手に取ってみたが,これはちょっと受け付けないねー。こういう書きなぐったような文体が今は売れるのでしょうか?文体はともかく内容にしても,ご都合主義的な展開でちょっとがっかりですよ。メフィスト賞ってホント基準が分からんな〜。
乾 くるみ の「Jの神話」読了
2005年1月30日 読書
ISBN:4062734605 文庫 乾 くるみ 講談社 2002/06 ¥770
乾 くるみ 著 「Jの神話」 ★★★☆
う〜ん。評価に困る作品だな〜。途中までは探偵小説で読み終わってみると,エログロホラー小説っていうのかなぁ?
舞台背景は定番ではあるけど,謎な女探偵「黒猫」もなかなか良い感じ。終盤に向かって手に汗握る緊迫感なんかも処女作にしては立派と拍手したい感じなんだけど,なんでそういう落ちにしてしまうかなぁ〜。メフィスト賞で衝撃作ってな触れ込みだから,何かあるとは思ったけど,こうくるとは思いもせんかった。別に王道ミステリを求めてるわけじゃないんで,こういうのもありかと納得はしたが,やっぱあれはないよな〜。
乾 くるみ 著 「Jの神話」 ★★★☆
全寮制の名門女子高「純和福音女学院」を次々に怪事件が襲う。一年生の由紀は塔から墜死し,生徒会長を務める美少女・真理亜は「胎児なき流産」で失血死をとげる。背後に暗躍する謎の男「ジャック」とは何者か?その正体を追う女探偵「黒猫」と新入生の優子にも魔手が迫る。女に潜む"闇"を妖しく描く衝撃作!
う〜ん。評価に困る作品だな〜。途中までは探偵小説で読み終わってみると,エログロホラー小説っていうのかなぁ?
舞台背景は定番ではあるけど,謎な女探偵「黒猫」もなかなか良い感じ。終盤に向かって手に汗握る緊迫感なんかも処女作にしては立派と拍手したい感じなんだけど,なんでそういう落ちにしてしまうかなぁ〜。メフィスト賞で衝撃作ってな触れ込みだから,何かあるとは思ったけど,こうくるとは思いもせんかった。別に王道ミステリを求めてるわけじゃないんで,こういうのもありかと納得はしたが,やっぱあれはないよな〜。
奥田 英朗の「マドンナ」読了
2005年1月30日 読書
ISBN:4062114852 単行本 奥田 英朗 講談社 2002/10 ¥1,470
奥田 英朗 著 「マドンナ」 ★★★★
めっちゃ笑える。17歳年下の部下に惚れた課長さん。アホな息子と職場の人間関係に苦悩する中間管理職。異動先の勝手にとまどうエリート社員。女上司を迎えこれまた苦悩する課長さん。公私の狭間にゆれる会社員。すべてのキャラクタにリアリティがあって,自分の会社の人間にむりやり当てはめて読んだりしてたら,つい「クックック」とほくそ笑んでしまう愉快な小説だ。
しかし奥田英朗って,ほんと等身大の人間を書くのが上手だね。まるで自分自身が経験したことを書いてるみたいだよ。
奥田 英朗 著 「マドンナ」 ★★★★
42歳の課長さん,17歳下のキャリアガールに恋をする。いかん,部下を好きになってはいかんのだ。お宅の職場,どうよ?ユーモアとリアリティ。新オフィス小説。
めっちゃ笑える。17歳年下の部下に惚れた課長さん。アホな息子と職場の人間関係に苦悩する中間管理職。異動先の勝手にとまどうエリート社員。女上司を迎えこれまた苦悩する課長さん。公私の狭間にゆれる会社員。すべてのキャラクタにリアリティがあって,自分の会社の人間にむりやり当てはめて読んだりしてたら,つい「クックック」とほくそ笑んでしまう愉快な小説だ。
しかし奥田英朗って,ほんと等身大の人間を書くのが上手だね。まるで自分自身が経験したことを書いてるみたいだよ。
西尾 維新の「クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子」読了
2004年12月30日 読書
ISBN:4061822675 新書 西尾 維新 講談社 2002/08 ¥819
西尾 維新 著 「クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子」 ★★★☆
講談社側の無理な注文(密室・200ページ以内)に,頭を抱えてしまい,なんとか書き上げたってな印象です。
まぁ相変わらずのキャラ萌え作風で戯言も面白いんだけど,トリックが全然イケてない。固定ファンを掴まえて売れている作家さんだから刊行にまで辿りつけたんだろうけど,まだ何の評価も受けていない作家さんだったら,絶対にダメだしを出されているであろう。そんくらいミステリとしてはダメダメです。一応面白いことに変わりはないんで,これからも読み続けていく作家さんではあるけど,ミステリ作家という認識は改めておく必要があるかもしれない・・・・・。
西尾 維新 著 「クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子」 ★★★☆
「紫木一姫って生徒を学園から救い出すのが,今回のあたしのお仕事」「救い出すって・・・・・まるで学園がその娘を拘禁してるみたいな言い方ですね」人類最強の請負人,哀川潤から舞い込んだ奇妙な依頼にしたがって私立澄百合学園,またの名を《首吊高校》に潜入した「ぼく」こと"戯言遣い・いーちゃん"は恐るべき殺戮の嵐に巻き込まれる―――。新青春エンタの真打ち,<戯言シリーズ>。維新を読まずに何を読む!
講談社側の無理な注文(密室・200ページ以内)に,頭を抱えてしまい,なんとか書き上げたってな印象です。
まぁ相変わらずのキャラ萌え作風で戯言も面白いんだけど,トリックが全然イケてない。固定ファンを掴まえて売れている作家さんだから刊行にまで辿りつけたんだろうけど,まだ何の評価も受けていない作家さんだったら,絶対にダメだしを出されているであろう。そんくらいミステリとしてはダメダメです。一応面白いことに変わりはないんで,これからも読み続けていく作家さんではあるけど,ミステリ作家という認識は改めておく必要があるかもしれない・・・・・。
井上 夢人の「クリスマスの4人」読了
2004年12月25日 読書
ISBN:4334737986 文庫 井上 夢人 光文社 2004/12/10 ¥600
井上 夢人 著 「クリスマスの4人」 ★★★★
映画の「ラストサマー」を思い出させる展開です。読んだ人の大半は同じ印象を持ったんではないでしょうか?ですが,ここには猟奇的な連続殺人なんぞは発生しません。っていうか死体そのものが出てこないのです。それはどういう意味か?それは是非とも読んで確認していただきたい。個人的にはこういうミステリとしての着地は好きではないんだけど,個人的に好きな作家さんということと,文章の上手さに頭が下がる思いで採点が甘くなってしまうのでした。
井上 夢人 著 「クリスマスの4人」 ★★★★
1970年,ビートルズが死んだ年の聖夜,物語は始まった。その夜を共に過ごした二十歳を迎える四人の男女。ドライブ中の車の前に突然,飛び出してきたオーバーコートの男。彼らには重大な秘密を共有する羽目になった。その後,十年毎に彼らを脅かす不可解な謎と,不気味に姿を現す男。2000年,時空を超えた結末は,破滅か,奇跡か!?奇想あふれる傑作長編小説!
映画の「ラストサマー」を思い出させる展開です。読んだ人の大半は同じ印象を持ったんではないでしょうか?ですが,ここには猟奇的な連続殺人なんぞは発生しません。っていうか死体そのものが出てこないのです。それはどういう意味か?それは是非とも読んで確認していただきたい。個人的にはこういうミステリとしての着地は好きではないんだけど,個人的に好きな作家さんということと,文章の上手さに頭が下がる思いで採点が甘くなってしまうのでした。
伊坂 幸太郎の「オーデュボンの祈り」読了
2004年12月23日 読書
ISBN:4101250219 文庫 伊坂 幸太郎 新潮社 2003/11 ¥660
伊坂 幸太郎 著 「オーデュボンの祈り」 ★★★☆
とっても不思議な小説だ。一応「ミステリ」に分類されるのであろうが,本作ではミステリに重きを置いていない。なにより楽しいのは登場人物の心理描写だ。設定が非現実的でありながらも,主人公の伊藤を置くことで,上手い具合に現実とのバランス関係を保っていて,そんな中で繰り広げられる登場人物の掛け合いが,この小説の魅力といえる。
すでに伊坂作品は何作か読んでいるけど,デビュー作からこんな新感覚の小説を書いていたんだね。彼にはミステリの枠に収まらずに,これからも自由奔放な世界を築いていって欲しいと思う。
伊坂 幸太郎 著 「オーデュボンの祈り」 ★★★☆
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は,気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている"荻島"には,妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家,「島の法律として」殺人を許可された男,人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ,頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは,なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?
とっても不思議な小説だ。一応「ミステリ」に分類されるのであろうが,本作ではミステリに重きを置いていない。なにより楽しいのは登場人物の心理描写だ。設定が非現実的でありながらも,主人公の伊藤を置くことで,上手い具合に現実とのバランス関係を保っていて,そんな中で繰り広げられる登場人物の掛け合いが,この小説の魅力といえる。
すでに伊坂作品は何作か読んでいるけど,デビュー作からこんな新感覚の小説を書いていたんだね。彼にはミステリの枠に収まらずに,これからも自由奔放な世界を築いていって欲しいと思う。
ロバート・ケーガンの「ネオコンの論理」読了
2004年12月22日 読書
ISBN:433496155X 単行本 ロバート・ケーガン 光文社 2003/05/23 ¥1,575
ロバート・ケーガン著 「ネオコンの論理」 ★★★
べつに「ネオコン」に興味があったわけではない。「ネオナチ」と勘違いして借りてしまったのだ。読み始めてすぐにおかしいことには気づいたんだけど,一旦読み始めて途中で止めるのも気持ち悪いので,頑張って興味のない「ネオコン」について勉強してみた。
著者は米国人であるが,ヨーロッパ在住ということもあり第三者的視野において語ることを冒頭で伝えているが,こうして読み終えてみると,著者はまぎれもなくアメリカ人であり,アメリカを擁護した見解に満ちているといわざるを得ない。確かに語られている点に納得することは多々あるのだが,生粋の日本人である私からすれば,一人のアメリカ人が「ネオコン」という名の宗教に絡め取られているとしか思えない。欧州人やアジア人の人たちは,この本を読んでどのように思うのだろう?きっと私のように眉をひそめる人が多いと思うのだが・・・・・
訳者の文章が下手糞でたいそう読みづらいが,一読の価値はあると思う。脳みそのしわを増やしてくれたことに感謝して星は3つとしておく。
ロバート・ケーガン著 「ネオコンの論理」 ★★★
全米ベストセラー驀進中!
この一冊に世界が震撼した!ネオコンの旗手:ヨーロッパとの訣別を宣言。現在,国際情勢とわが国の命運を考えるうえで,本書ほど重要な著作はない。
べつに「ネオコン」に興味があったわけではない。「ネオナチ」と勘違いして借りてしまったのだ。読み始めてすぐにおかしいことには気づいたんだけど,一旦読み始めて途中で止めるのも気持ち悪いので,頑張って興味のない「ネオコン」について勉強してみた。
著者は米国人であるが,ヨーロッパ在住ということもあり第三者的視野において語ることを冒頭で伝えているが,こうして読み終えてみると,著者はまぎれもなくアメリカ人であり,アメリカを擁護した見解に満ちているといわざるを得ない。確かに語られている点に納得することは多々あるのだが,生粋の日本人である私からすれば,一人のアメリカ人が「ネオコン」という名の宗教に絡め取られているとしか思えない。欧州人やアジア人の人たちは,この本を読んでどのように思うのだろう?きっと私のように眉をひそめる人が多いと思うのだが・・・・・
訳者の文章が下手糞でたいそう読みづらいが,一読の価値はあると思う。脳みそのしわを増やしてくれたことに感謝して星は3つとしておく。
綿矢 りさ の「インストール」読了
2004年12月20日 読書
ISBN:4309014372 単行本 綿矢 りさ 河出書房新社 2001/11 ¥1,050
綿矢 りさ 著 「インストール」 ★★★
綿矢作品2作目です。たった1作で評価を決めるのは失礼だなと,そして時折みせた秀逸な文章を今作でも期待をし,今後も追いかけるべき作家かどうかを判断するために借りてみた。(偉そうな)
え〜と,結論から言ってしまうと「さようなら」ってことで,今後よっぽどのことがない限り読むことはないでしょう。「蹴りたい背中」よりかは楽しめたんだけど,なんかパンチが足んないんだよね。章ごとに構成されていないので,なんかダラダラとした展開のまま最後まで行き着いてしまって,結局最後は「それで・・・?」っていう微妙な感想を持つだけに終わってしまう。
それでも本作でも「おぅ!」ってな文章を見ることができたので,才能というかセンスはあるんでしょう。ただ,まだ若すぎて文章に遊び心というかこなれたモノを見せられるまでには至ってないのでは思うのだけどどうなのですかね?
綿矢 りさ 著 「インストール」 ★★★
女子高生と小学生が風俗チャットでひと儲け。押入れのコンピューターからふたりが覗いた“オトナの世界”とは!?最年少・17歳、第38回文芸賞受賞作。
綿矢作品2作目です。たった1作で評価を決めるのは失礼だなと,そして時折みせた秀逸な文章を今作でも期待をし,今後も追いかけるべき作家かどうかを判断するために借りてみた。(偉そうな)
え〜と,結論から言ってしまうと「さようなら」ってことで,今後よっぽどのことがない限り読むことはないでしょう。「蹴りたい背中」よりかは楽しめたんだけど,なんかパンチが足んないんだよね。章ごとに構成されていないので,なんかダラダラとした展開のまま最後まで行き着いてしまって,結局最後は「それで・・・?」っていう微妙な感想を持つだけに終わってしまう。
それでも本作でも「おぅ!」ってな文章を見ることができたので,才能というかセンスはあるんでしょう。ただ,まだ若すぎて文章に遊び心というかこなれたモノを見せられるまでには至ってないのでは思うのだけどどうなのですかね?
加納 朋子の「掌の中の小鳥」読了
2004年12月16日 読書
ISBN:4488426034 文庫 加納 朋子 東京創元社 2001/02 ¥567
加納 朋子 著 「掌の中の小鳥」 ★★★☆
鯨統一郎の「邪馬台国はどこですか?」と同じような舞台。そういえば版元が同じだな〜。どっちが面白いかといえば,こっちの方が断然面白い。まぁ話の内容は全然違うんだけれども・・・。
前にも書いたけど,この人の書く文章ってホント心地よくて吸い込まれていくのね。ココ最近の眠気も吹っ飛ばしてくれる面白さと,癒しもくれる加納朋子らしいナイスな一冊でした。
加納 朋子 著 「掌の中の小鳥」 ★★★☆
ここ<エッグ・スタンド>はカクテルリストの充実した小粋な店。謎めいた話を聞かせてくれる若いカップル,すっかりお見通しといった風の紳士,今宵も常連の顔が並んでいます。狂言誘拐を企んだ昔話やマンションの一室が消えてしまう奇談に興味はおありでしょうか?ミステリがお好きなあなたには,満足していただけること請け合い。―――お席はこちらです。ごゆっくりどうぞ。
鯨統一郎の「邪馬台国はどこですか?」と同じような舞台。そういえば版元が同じだな〜。どっちが面白いかといえば,こっちの方が断然面白い。まぁ話の内容は全然違うんだけれども・・・。
前にも書いたけど,この人の書く文章ってホント心地よくて吸い込まれていくのね。ココ最近の眠気も吹っ飛ばしてくれる面白さと,癒しもくれる加納朋子らしいナイスな一冊でした。
綿矢 りさ の「蹴りたい背中」読了
2004年12月13日 読書
ISBN:4309015700 単行本 綿矢 りさ 河出書房新社 2003/08/26 ¥1,050
綿矢 りさ 著 「蹴りたい背中」 ★★
意 味 分 か ら ん 。
ポカーンってな感じ。
どのあたりに面白さを見出せばいんでしょ?
女の子であったら,共感できるところがあったのでしょうか?
それとも若いときの気持ちを忘れてしまったのでしょうか?
そもそも私に純文学(?)を理解するセンスが足りないのでしょうか?
兎にも角にも良く分からんかったが,芥川賞を受賞するからには,また多くの支持者がいるのだから良い作品なのでしょう。
ということで,星は2つということにしておく。
綿矢 りさ 著 「蹴りたい背中」 ★★
『インストール』で文藝賞を受賞した綿矢りさの受賞後第1作となる『蹴りたい背中』は、前作同様、思春期の女の子が日常の中で感受する「世界」への違和感を、主人公の内面に沿った一人称の視点で描き出した高校生小説である。長谷川初実(ハツ)は、陸上部に所属する高校1年生。気の合う者同士でグループを作りお互いに馴染もうとする…
意 味 分 か ら ん 。
ポカーンってな感じ。
どのあたりに面白さを見出せばいんでしょ?
女の子であったら,共感できるところがあったのでしょうか?
それとも若いときの気持ちを忘れてしまったのでしょうか?
そもそも私に純文学(?)を理解するセンスが足りないのでしょうか?
兎にも角にも良く分からんかったが,芥川賞を受賞するからには,また多くの支持者がいるのだから良い作品なのでしょう。
ということで,星は2つということにしておく。
西澤 保彦の「麦酒の家の冒険」読了
2004年12月12日 読書
ISBN:4062649276 文庫 西澤 保彦 講談社 2000/06 ¥650
西澤 保彦 著 「麦酒の家の冒険」 ★★
相変わらず眠くて仕方ない。なんで,軽快に読めるだろうと西澤作品にしたのだが見事に裏切られた。
タックシリーズ中心人物の4人のトークは別に問題ない。だが,長編で推論のオンパレードを畳み掛けられると退屈極まりない。少ない事象で多くの推論を考え出した作者には悪いが,こういうのは短編で凝縮した推論だけで展開していってほしい。登場人物の色づけもあるから仕方ないのかね。
ビールなんて発泡酒以外ならなんでもいいですから〜♪残念!!
山崎レモンソーダ割りに嵌り中斬り!(切腹!!)
西澤 保彦 著 「麦酒の家の冒険」 ★★
ドライブの途中,四人が迷い込んだ山荘には,一台のベッドと冷蔵庫しかなかった。冷蔵庫には,エビスのロング缶と凍ったジョッキ。ベッドと96本のビール,13個のジョッキという不可解な遺留品の謎を酩酊しながら推理するうち,大事件の可能性に思い至るが・・・・・。ビール党に捧げる安楽椅子パズル・ミステリ。
相変わらず眠くて仕方ない。なんで,軽快に読めるだろうと西澤作品にしたのだが見事に裏切られた。
タックシリーズ中心人物の4人のトークは別に問題ない。だが,長編で推論のオンパレードを畳み掛けられると退屈極まりない。少ない事象で多くの推論を考え出した作者には悪いが,こういうのは短編で凝縮した推論だけで展開していってほしい。登場人物の色づけもあるから仕方ないのかね。
ビールなんて発泡酒以外ならなんでもいいですから〜♪残念!!
山崎レモンソーダ割りに嵌り中斬り!(切腹!!)
高田 崇史の「QED 竹取伝説」読了
2004年12月6日 読書
ISBN:4061822950 新書 高田 崇史 講談社 2003/01 ¥882
高田 崇史 著 「QED 竹取物語」 ★☆
師走に突入し朝夜の冷え込みもきつくなってきた。そんな季節の電車の中では読書よりも,暖房の効いた車内での睡眠が最優先される・・・・・。このような時は深く考えなくてもいい本であるか,若しくは睡魔すら吹っ飛ばす熱中できる本が必要なのだが,そんなときに薀蓄本を読んでしまった。
睡魔と闘いながら,延々と語られる薀蓄・お酒(カクテル)のあーだこーだといった興味をそそられない話に,もうイッパイイッパイなのでした。最後の最後でミステリとして上手く着地をしたことと薀蓄によってある程度の知識を広げられたことを評価して最低点だけは免れる格好となった。もう少し集中して読んでいたら,こんな点数ではなかったのかもしれないが,なんとも読んだ時期が悪かった。
高田 崇史 著 「QED 竹取物語」 ★☆
"高群山の姫笹様は・・・・・滑って転んで裏庭の,竹の林で右目を突いて,橋のたもとに捨てられた"。不吉な"手毬唄"が残る,奥多摩は織部村。この村で,まるで唄をなぞったような殺人事件が発生。崇は,事件の本質を解き明かすべく,「竹取物語」の真実から「かぐや姫」の正体にまで迫る。まさに「QED」の真骨頂!
師走に突入し朝夜の冷え込みもきつくなってきた。そんな季節の電車の中では読書よりも,暖房の効いた車内での睡眠が最優先される・・・・・。このような時は深く考えなくてもいい本であるか,若しくは睡魔すら吹っ飛ばす熱中できる本が必要なのだが,そんなときに薀蓄本を読んでしまった。
睡魔と闘いながら,延々と語られる薀蓄・お酒(カクテル)のあーだこーだといった興味をそそられない話に,もうイッパイイッパイなのでした。最後の最後でミステリとして上手く着地をしたことと薀蓄によってある程度の知識を広げられたことを評価して最低点だけは免れる格好となった。もう少し集中して読んでいたら,こんな点数ではなかったのかもしれないが,なんとも読んだ時期が悪かった。
中野 独人の「電車男」読了
2004年12月3日 読書
ISBN:4104715018 単行本(ソフトカバー) 中野 独人 新潮社 2004/10/22 ¥1,365
中野 独人 著 「電車男」 評価外
これ借りて読んだんだ。電車男そして書き込みしてたオマイラごめん。これは買って読むべきだったな・・・。
別にいいんだ。これが”やらせ”だったとしても・・・・・。
嗚呼,なんだか学生時代の甘酸っぱい記憶が甦ってきたよ。
ココ↓で全部よめるよ。
http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Aquarius/7075/trainman.html
中野 独人 著 「電車男」 評価外
電車内で暴れる酔っ払いから若い女性を救った,ヲタク青年。女性に円がない彼は,彼女をデートに誘うべく,モテない男たちが集うインターネットのサイトに助けを求める。いしつか「電車男」を呼ばれるようになった彼に,出来る限りのアドヴァイスを与え,時に叱りながらも暖かく見守る仲間たち。熱い励ましは「電車男」に勇気を与え,彼女との距離を一歩一歩縮めていく。「電車男」は果たして意中の彼女に告白できるのか?
読む人全てを熱い共感の渦に巻き込む,リアル・ラブ・ストーリー!!
これ借りて読んだんだ。電車男そして書き込みしてたオマイラごめん。これは買って読むべきだったな・・・。
別にいいんだ。これが”やらせ”だったとしても・・・・・。
嗚呼,なんだか学生時代の甘酸っぱい記憶が甦ってきたよ。
ココ↓で全部よめるよ。
http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Aquarius/7075/trainman.html
荻原 浩の「誘拐ラプソディー」読了
2004年11月29日 読書
ISBN:4575509701 文庫 荻原 浩 双葉社 2004/10 ¥760
荻原 浩 著 「誘拐ラプソディー」 ★★★★
このごろ誘拐モノが多いなー。岡嶋二人の「99%の誘拐」では,緻密に計算された誘拐劇であったのに対し,本作では真逆な展開で,その場にガキがいたからっていう理由で誘拐を敢行してしまうドタバタ的な誘拐である。天藤真の「大誘拐」では,一応計画された誘拐ではあったが,本作とは犯人のボケ具合や誘拐されてる本人のズレ具合がとても似ている。ようするに笑えるのだ。そういった軽い展開でサクサク読める+αで,場所が埼玉県で所々に出てくる地名をぜん〜ぶ知ってたりしたのが,この話にのめり込めた点で,とっても良かったかな。
荻原 浩 著 「誘拐ラプソディー」 ★★★★
伊達秀吉は,金ない家ない女いない,あるのは借金と前科だけのダメ人間。金持ちのガキ・伝助との出会いを「人生一発逆転のチャンス?」とばかりに張り切ったものの,誘拐に成功はなし。警察はおろか,ヤクザやチャイニーズマフィアにまで追われる羽目に。しかも伝助との間に友情まで芽生えてしまう―――。はたして,史上最低の誘拐犯・秀吉に明日はあるのか?たっぷり笑えてしみじみ泣ける,最高にキュートな誘拐物語。
このごろ誘拐モノが多いなー。岡嶋二人の「99%の誘拐」では,緻密に計算された誘拐劇であったのに対し,本作では真逆な展開で,その場にガキがいたからっていう理由で誘拐を敢行してしまうドタバタ的な誘拐である。天藤真の「大誘拐」では,一応計画された誘拐ではあったが,本作とは犯人のボケ具合や誘拐されてる本人のズレ具合がとても似ている。ようするに笑えるのだ。そういった軽い展開でサクサク読める+αで,場所が埼玉県で所々に出てくる地名をぜん〜ぶ知ってたりしたのが,この話にのめり込めた点で,とっても良かったかな。
森 博嗣の「そして二人だけになった」読了
2004年11月26日 読書
ISBN:4061822179 新書 森 博嗣 講談社 2001/11 ¥1,029
森 博嗣 著 「そして二人になった」 ★★★★
惜しい。実に惜しい。森作品では久しぶりに興奮した作品だったのに・・・。最後がなぁ〜,なんでそうなるのっ!ミステリとしては,これまでのどの作品よりも抜きん出てると思う。それだけに,この森らしい結末を今作においてはやめて欲しかったよ。森らしいといえば犯人の動機ね。今作において犯人はなんと「動機は言いたくない」とか言ってるのよ。ねぇ,これってどうなのよ。動機を重要視する人にとっては憤慨ものだろうなー。まぁ私も動機なんかどうでもよいと思っているほうだし,森作品に慣れてしまっているので,別にどうでもよいのだけどね。
森 博嗣 著 「そして二人になった」 ★★★★
全長4000メートル,世界最大級の海峡大橋を支える巨大なコンクリート塊"アンカレイジ"。その内部の《バルブ》と呼ばれる空間に,科学者,医者など6名が集まった。通信システムが破壊され,「完全密室」と化した《バルブ》内で起こる連続殺人!最後に残ったのは,盲目の天才科学者と彼のアシスタントだった。
惜しい。実に惜しい。森作品では久しぶりに興奮した作品だったのに・・・。最後がなぁ〜,なんでそうなるのっ!ミステリとしては,これまでのどの作品よりも抜きん出てると思う。それだけに,この森らしい結末を今作においてはやめて欲しかったよ。森らしいといえば犯人の動機ね。今作において犯人はなんと「動機は言いたくない」とか言ってるのよ。ねぇ,これってどうなのよ。動機を重要視する人にとっては憤慨ものだろうなー。まぁ私も動機なんかどうでもよいと思っているほうだし,森作品に慣れてしまっているので,別にどうでもよいのだけどね。