ISBN:4061823795 新書 京極 夏彦 講談社 2004/07/06 ¥1,365

京極 夏彦 著 「百器徒然袋-風」 ★★★★



発売日にもちろんゲット♪

榎さんサイコーです。脇役も良い味だしてます。

今作は3つの中篇なんで,お得意の薀蓄は抑えられてます。

それでもノベルスにして500ページ超ってのがさすがに京極らしい。

京極の作品はどれも長ーくて,手を出しづらい人が多いようだけど,本作や前作の「雨」あたりから入ったら良いのでは。でも人物相関は省略されてるから,完全には楽しめないかな?

できれば年に2作は京極堂シリーズを出して欲しいとこだけど,次はいつ出るのかなぁ〜?
ISBN:4087476952 文庫 乙一 集英社 2004/05 ¥620

乙一 著 「暗黒童話」 ★★★





乙一には珍しい長編です。

やっと,この著者がホラー作家といわれるのが分かった。

これまでに読んだのは,「ホラーかコレ?」ってのばっかりだったけど,これはホントに正真正銘のホラーです。そんでもって,かなりグロイです。

読んでみて分かったのは,ホラーは小説でも苦手だってこと。
映画なんてのはもっとダメで,見るときは「この手前にはカメラが回ってるだぞ」と,言い聞かせて見ております。
ISBN:4344401638 文庫 乙一 幻冬舎 2001/10 ¥480

乙一 著 「死にぞこないの青」 ★★★

主人公であるマサオくんは,小学校教師による理不尽ないじめにあっている。そんな彼はいじめにあっているうちに,自分の心が生み出した幻覚である「アオ」という人物を見ることになる。

お話的には良くも悪くもなくって感じでまぁ普通。

それよりも問題は「いじめ」。読んでいるだけでも腹立たしい。

私はどちらかというと「いじめっ子」側の少年であった。

こんな逸話がある。
久しぶりに会った友人と飲んでいたら彼がこういうのだ。

友人:「オレが転校した来たとき,お前いきなり殴ってきたんだよなぁ〜。あれって,オレが番長(死語)っていう見せしめだったのか?」と。

私:「はぁっ?いやぁ〜,全然覚えてないんすけど・・・。」

友人:「おまえ,ふざけんなよっ!あんときオレがどれだけへこんだか分かってんのかっ!!」と。

高校ではヤンキーになってしまった彼だけど,さずがにそのときは学校に来るのがイヤになったそうだ。

ヘンな逸話を披露したら,何を言いたいのか分からなくなってきた。

要するに「いじめ」はよくないことだ。友人のように反動でヤンキーになってしまった人もいるのだから(笑)

っていうか,ほんとに何が言いたかったのだろ?
ISBN:4087475905 文庫 乙一 集英社 2003/06 ¥620

乙一 著 「平面いぬ。」 ★★★★

またまた4編からなる短編集。

これは全部いいねぇ。特に「平面いぬ。」が最高。

どうやったらこんな設定を考えられるのかがとっても不思議だ。
変な設定といえば,西澤保彦のヘンテコSFミステリが有名だけど,それとは違う味深さがあって心を揺さぶられる感じがいい。

「はじめ」という作品があるんだけど,これって何かの雑誌で漫画化されてないか?記憶がとっても曖昧で自信がないんだけど,どっかで見たことがある気がするんだよなぁ。

まぁ今回も切なくさせてくれました!おすすめである。
ISBN:4087473422 文庫 乙一 集英社 2001/07 ¥460

乙一 著 「天帝妖狐」 ★★★☆





これも2編の短編集。

ネットで著者についてイロイロ調べてたら,どうやらこの著者の作品は”切ない系”に分類されるらしい。
誰がいったかしらんが,上手いことを言うもんだ。
確かに読み終えると「切ない」感でいっぱいである。

私はすべてが丸く収まってハッピーエンドのような作品が好きなのだけど,こういうのもまたイイね。
ISBN:4087471985 文庫 乙一 集英社 2000/05 ¥440

乙一 著 「夏と花火と私の死体」 ★★★☆





乙一のデビュー作。
表題作の「夏と花火と私の死体」と「優子」の二編。

この作品を書いたときの著者は,若干16歳だったそうだ。

私の16歳といえば,停学をくらい期末試験が受けられるかどうかで留年するかしないかの瀬戸際という危うい時であった(笑)

解説で小野不由美さんが,「驚異的だ」と残しているが,まさにそのとおりと首を縦に振らざるを得ない。

まだ若さが見え隠れするが,まさに天才の所業であろう。

これからの作品にも期待が持てる。アッパレ!
ISBN:4488422012 文庫 鯨 統一郎 東京創元社 1998/05 ¥651

鯨 統一郎 著 「邪馬台国はどこですか?」 ★★★





題名に惹かれて買ったんだけど,う〜んイマイチって感じだった。

本作は下記の6本の短編となっている。
それぞれ斬新な解釈をもって謎に挑んでいるけど,真面目に歴史書のように読んではダメです。軽くギャグ本もしくは戯言だと思って著者の言葉を笑い飛ばしながら読むのが良いでしょう。

・「悟りを開いたのはいつですか?」

どうやら仏陀は本物の悟りを開いてはないのらしい。
そうとなると今日まで続いているそれぞれ枝分かれした仏教の教義はどうなってしまうのだろうか?

・「邪馬台国はどこですか?」

どうやら邪馬台国は畿内でも九州でもなく東北の岩手なのらしい。
この仮説はなかなか面白い。研究者もダメもとで調査してみるのも良いかもしれないぞ。

・「聖徳太子はだれですか?」

どうやら聖徳太子は,推古天皇と同一人物らしい。さらに蘇我馬子とも同一人物であり,推古天皇の良い部分が聖徳太子で悪い部分が蘇我馬子なのだという。
荒唐無稽もいいとこだ。いくら小説とはいえ少々乱暴にすぎるんだが,いまある史実が絶対ではないので完全否定はできないんだよなぁ。

・「謀反の動機はなんですか?」

どうやら本能寺の変で織田信長が自害したのは明智光秀の謀反によるものなのだが,それは織田信長によって画策された自殺のための隠れ蓑であり,明智光秀はその絵図を了解した上で主人公を演じてただけなのらしい。
開いた口がふさがらないよ。よくもまあこんだ想像ができるもんだ。光秀のような知将が,今後の展開について読めないとは思えないので,これにはちょっと納得いかないね。

・「維新が起きたのはなぜですか?」

明治維新を起こしたのは,超能力を使った勝海舟の画策のものだったらしい。
はい,もう超能力とか言ってる時点で冷めます。
超能力とはいっても心理学でいう催眠術なんだけど,だからっておいおいって感じです。

・「奇跡はどのようになされたのですか」

イエスが磔の刑にあったとされてるが,ホントはイエスに成りすましたユダであったというのだ。
キリスト教者が聞いたら憤慨するではすまないであろう。まぁ私は無信人であるから,なんとも思わないんだがね。

・・・とまあこんなお話なんだが,短編であるがゆえに,QEDシリーズのような裏づけに乏しいのは否めない。なんか一つの題材に絞って長編を書いてくれたら面白いかもしれないな。
ISBN:4062738279 文庫 福井 晴敏 講談社 2003/08 ¥680

福井 晴敏 著 「川の深さは」 ★★☆





乱歩賞受賞作の「Twelve Y.O.」を読んだときに,この著者の作品は今後読むことはないだろうと思ってたんだけど,会社の人の強い推薦があり,しょうがなく手にしたが,やっぱりダメだった。

この著者は作品を出すたびになんらかの賞を獲ってしまう注目されている作家さんなんだけど,私にはどうもうけつけないんだよな。

なんかねー,漢字が多くて文章が硬いんだよね〜。漢字が多いっていえば,京極作品もそうなんだけど,なんか違うんだよな。それと拳銃とかの武器の正式名称とか細々と書いてもただうざいだけ。

乱歩賞作品よりかは軽くよめたような気はするけど,たかだか400ページの文庫を読むのに4日もかかったことを考えると,やっぱりのめり込めずにダラダラと義務感のように読んでたんだろうなぁ。

ホントにもうこの作家さんの作品は読まないことでしょう。
ISBN:4104596019 単行本 伊坂 幸太郎 新潮社 2003/04 ¥1,575

伊坂 幸太郎 著 「重力ピエロ」 ★★★★





いまイケイケ状態の感ある伊坂がまたやってくれた。

本作はミステリのようでミステリでないような娯楽小説(?)なのだけど,ホント掛け値なしに面白い!

小説の帯に担当編集者が「なんだ,小説まだまだいけるじゃん!」ってコメントを寄せているけどホントそのとおり!!

若者の活字離れとか言われちゃってる時代だけど,こういう作品がもっともっと出てくれば,自然と読者は増えるとおもうんだけどなぁ。

帯にコメントを寄せた担当編集者の方には悪いんだけど,「世界の中心で・・・」のように,柴崎コウのような売れっ子芸能人が寄せたコメントだったら,もっと売れたかもしれません・・・。
ISBN:4061822047 新書 森 博嗣 講談社 2001/09/05 ¥861

森 博嗣 著 「六人の超音波科学者」 ★★★☆





Vシリーズの7作目。

理系ミステリと言われる著者らしいお話。

それでも,小難しい理論や薀蓄をたれないので,そこそこに「フンフン」と納得して読めるのが,この著者の良いところ。
また比喩表現もかなり突出しているしね。

また今作はお気に入りの"七夏"が中心的だったのがよかった。

作品的には星3つだが,七夏のおかげで+0.5を贈呈しよう。

Vシリーズも残り3作。どう纏め収めるのでしょうかねぇ?
ISBN:4061822357 新書 浦賀 和宏 講談社 2002/02 ¥777

浦賀 和宏 著 「学園祭の悪魔」 ★★★☆





安藤君,あいかわらず逝っちゃってます。

この著者の若い感性で書いているからなのか,結構軽い感じで読みやすいのだけど,よくもここまでグロイ作品がかけるなといつも思う。

前作の「眠りの牢獄」は異色だったけど,今作はいままでの流れに基づいてのストーリーになっていて,これだけ読んでも理解はできるけど,続けて読んだ方が深みがあって楽しめるね。

それにしてもこのお話は,いつ収束するのだろうか・・・?
ISBN:406273964X 文庫 野沢 尚 講談社 2004/02 ¥620

野沢 尚 著 「砦なき者」 ★★





どうやら本書は,乱歩賞を受賞した「破線のマリス」の続編らしい。
あの作品はとっても面白く,それを機会に次々と野沢作品を読むようになって本作も期待をしてたが,これが大はずれ。

本作は3つのストーリーから構成されていて,それぞれのストーリーに関連はないのだけど,そのなかで主人公とTV局のディレクター達がすべてに絡んでくるという手法。

まあ良くある手で構成的に目新しさはないうえに,3つのストーリーすべてが中途半端でダメダメ。

主人公の思考にも全くついていけず,読み終えてから「なんなの?」て感じだった。

「TVを信じるな」っていう前作同様のメッセージが入ってるのだろうけど,もともとTVのやることなんて半分しか信じてないしね。あらゆるメディアに対してもだけど・・・。

この人はミステリやサスペンスに重きをおかないで,青春・恋愛を軸にした方がいいのかもしれないな。
ISBN:4094080252 文庫 幸田 真音 小学館 2004/04 ¥730

幸田 真音 著 「凛冽の宙」 ★★★☆




今回の題材は「不良債権」。

この著者の作品を読むと,「ホント今の日本経済って大丈夫かよ?」って考えさせられる。

今問題の年金問題も,国会でなにやら大騒ぎのようで,もうなにがなにやら・・・って感じ。

金融関係で唯一自分に身近なのは為替状況。この為替によって仕事の売り上げがどうこうってことはないんだけど,円高になると少しばかり仕事がやりづらくなるんだな。

こうした為替状況も,「あー上がったよ,おー下がってきた」なんて軽い感じで毎日見てるけど,この為替の上下にもいろんな裏事情があるんだよね。

難しくてイマイチ良く分かんない世界だけど,まったくの無知はホント問題ですな。少しは勉強せねば・・・。

話が脱線したので感想へと戻そう。
いつもちょっとばかりのミステリを含ませる著者だが今回はそれが少し弱かった。最後もなんだか中途半端で,最後の結末まで書き終えて欲しかったな。

まぁいつもながら勉強になる経済小説なので星は3.5としておこう。
ISBN:4061823175 新書 貫井 徳郎 講談社 2003/05 ¥861

貫井 徳郎 著 「被害者は誰?」 ★★★★





お気に入りである貫井の中篇4作を纏めた本書。

フーダニットに焦点を定めてるんだけど,これは犯人が誰?ではないんだな。
表題作の「被害者は誰?」,「目撃者は誰?」,「探偵は誰?」,「名探偵は誰?」と一風変わったもの。

ホームズ役の「売れっ子作家の吉祥院」,ワトスン役の「吉祥院の後輩で刑事の桂島」。この二人が絶妙な絡みをみせ,面白おかしく読み進ませてくれる。

前に貫井の筆力がどんどんついてくるって書いたけど,今作もさらにパワーアップした貫井を見せてくれた。さらにエンターテイメント性を持たせる軽いタッチもだんだんとこなれてきて,ますますよい感じだ。

でも世間的にはまだあまり認知されていないのが悲しい。ここは一発なんか賞をあげてマスコミに取り上げて欲しいもんだ。あの「世界の中心で・・・・・」なんかより,ずっとよいのだから。
ISBN:4062739755 文庫 高田 崇史 講談社 2004/03 ¥730

高田 崇史 著 「QED 東照宮の怨」 ★★★★




QEDシリーズ4作目。今回は日光東照宮にまつわる話です。

前作は「ホームズ」の話でなんとなくのめりこめなかったんだけど,今回は私の大好きな日本史なのでとっても興味深く読めた。

日光東照宮には小学生の時の修学旅行で行ったことがあって,そのときはまだ幼いこともあり,ただ「スゲー」とか「デケー」とかの感想しか抱けなかったんだけど,いままで色んな本やNHKのテレビそして今作を読んで,あぁ〜もう一度行きたいなってしみじみ思っちゃいました。

そういえば昔に学校の授業でつかう日本史や世界史の教科書を買おうと思って本屋さんにいろいろ行って見つかんなかったんだけど,そもそもあれって市販されてるのかぁ〜?また今頃になって欲しくなりました。あー,教科書捨てなければよかった。
ISBN:4334923755 単行本 東野 圭吾 光文社 2002/11/19 ¥1,680

東野 圭吾 著 「ゲームの名は誘拐」 ★★★☆




映画「G@ME」の原作。

う〜ん,なんか特に面白くもなく詰まらなくもなくって感じで,
器用貧乏の名に相応しい作品だったかな。

こんなこといったら,東野ファンにタマゴを投げつけられそうだが・・・

狂言誘拐だからなのか緊張感がなく,すご〜く平坦に話は進んでいって,最後の最後もなんとなく終わってしまったって感じだった。

でもプロットは良くエンターテイメント性たっぷりなので,映画にするには持って来いの作品だね。
ISBN:4062735725 文庫 綾辻 行人 講談社 2002/10 ¥620

綾辻 行人 著 「どんどん橋,落ちた」 ★★★





表題作を含む短編集。

どれもそこそこ面白いんだけど,表題作が一番よかったなぁ。

犯人じゃなくて,犯猿なんてずりぃーよ。

まぁこんなフザケタ感じの作品で,そこそこには楽しめたかな。

でも短編小説ってあまり好きではないなぁ〜って痛感しました。
ISBN:4344402146 文庫 乙一 幻冬舎 2002/04 ¥520

乙一 著 ★★★★☆





世間でなかなか評判のよい乙一作品。

気にはなってたけど,作家名がヘンなのでなぜか妙に敬遠してたりして(笑)

「GOTH リストカット事件」が有名だけどいきなり長編ってのも気が進まないので適当に短いのを選んだのがコレ。

しかしなんのなんの,めちゃめちゃ面しろいではないか。

一応ミステリではあるんだけど純文学のテイストも含まれてて,"本多 孝好"的の非常に読みやすい作品でした。

違う作品も読みたいっていう作家さんに久しぶりに出会ったな。
ISBN:4061821830 新書 森 博嗣 講談社 2001/05 ¥882

森 博嗣 著 「恋恋蓮歩の演習」 ★★★★




Vシリーズの6作目。

キャラ頼りでいまいちノレてなかったこのシリーズだったが,今作はかなりイケてました。

前作に登場した"各務 亜樹良"の再登場もなかなか良い感じ。

お気に入りの"祖父江 七夏"がもう少し出番があれば・・・

あと4作。続きがますます楽しみだ。
ISBN:4334073166 単行本(ソフトカバー) 花村 萬月 光文社 1998/11 ¥1,300

花村 萬月 著 「二進法の犬」 ★★★★★





いや〜,ちょっとおまけ気味だけどこの日記書いて始めての満点です。

文庫で1100ページという超大作にもかかわらず,飽きさせることなく最後までぐいぐい引っ張ってくれました。

登場人物のすべてがとっても味深いね。

家庭教師の鷲津,ヤクザの娘の倫子,倫子の父で組長の十郎,組員の中島などなど,一人ひとりがとっても際立っていて,それぞれに共感できるところがあったのが良かった。

その中でも組員の中島が一番好きだったな。
世間でははみ出し者でヤクザの世界に生きる男だけど,その世界の中で自分をしっかりと認識し,自分の信念のもとに生きている姿は読んでいてとても気持ちが良かった。

白と黒しかない両極端な世界に軽い憧れを抱くも,今の社会でそのように生きられる人てどのくらいいるのだろう?

なんとなく日々を流されるがまま怠惰に生きる今に,とっても考えさせられるも,この現代社会でそのように生きていくってのはとっても難しい。少しでもそのようにありたいものだということを念頭においてこれからを精進したい気持ちでいっぱいである。また倫子のような己の命をも懸けた恋愛をしてみたいものだ。

いやしかし,「二進法の犬」とは良くできた小説名でした。

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