ISBN:4334737986 文庫 井上 夢人 光文社 2004/12/10 ¥600

井上 夢人 著 「クリスマスの4人」 ★★★★

1970年,ビートルズが死んだ年の聖夜,物語は始まった。その夜を共に過ごした二十歳を迎える四人の男女。ドライブ中の車の前に突然,飛び出してきたオーバーコートの男。彼らには重大な秘密を共有する羽目になった。その後,十年毎に彼らを脅かす不可解な謎と,不気味に姿を現す男。2000年,時空を超えた結末は,破滅か,奇跡か!?奇想あふれる傑作長編小説!


映画の「ラストサマー」を思い出させる展開です。読んだ人の大半は同じ印象を持ったんではないでしょうか?ですが,ここには猟奇的な連続殺人なんぞは発生しません。っていうか死体そのものが出てこないのです。それはどういう意味か?それは是非とも読んで確認していただきたい。個人的にはこういうミステリとしての着地は好きではないんだけど,個人的に好きな作家さんということと,文章の上手さに頭が下がる思いで採点が甘くなってしまうのでした。
ISBN:4101250219 文庫 伊坂 幸太郎 新潮社 2003/11 ¥660

伊坂 幸太郎 著 「オーデュボンの祈り」 ★★★☆

コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は,気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている"荻島"には,妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家,「島の法律として」殺人を許可された男,人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ,頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは,なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?


とっても不思議な小説だ。一応「ミステリ」に分類されるのであろうが,本作ではミステリに重きを置いていない。なにより楽しいのは登場人物の心理描写だ。設定が非現実的でありながらも,主人公の伊藤を置くことで,上手い具合に現実とのバランス関係を保っていて,そんな中で繰り広げられる登場人物の掛け合いが,この小説の魅力といえる。
すでに伊坂作品は何作か読んでいるけど,デビュー作からこんな新感覚の小説を書いていたんだね。彼にはミステリの枠に収まらずに,これからも自由奔放な世界を築いていって欲しいと思う。
ISBN:433496155X 単行本 ロバート・ケーガン 光文社 2003/05/23 ¥1,575

ロバート・ケーガン著 「ネオコンの論理」 ★★★

全米ベストセラー驀進中!
この一冊に世界が震撼した!ネオコンの旗手:ヨーロッパとの訣別を宣言。現在,国際情勢とわが国の命運を考えるうえで,本書ほど重要な著作はない。


べつに「ネオコン」に興味があったわけではない。「ネオナチ」と勘違いして借りてしまったのだ。読み始めてすぐにおかしいことには気づいたんだけど,一旦読み始めて途中で止めるのも気持ち悪いので,頑張って興味のない「ネオコン」について勉強してみた。
著者は米国人であるが,ヨーロッパ在住ということもあり第三者的視野において語ることを冒頭で伝えているが,こうして読み終えてみると,著者はまぎれもなくアメリカ人であり,アメリカを擁護した見解に満ちているといわざるを得ない。確かに語られている点に納得することは多々あるのだが,生粋の日本人である私からすれば,一人のアメリカ人が「ネオコン」という名の宗教に絡め取られているとしか思えない。欧州人やアジア人の人たちは,この本を読んでどのように思うのだろう?きっと私のように眉をひそめる人が多いと思うのだが・・・・・
訳者の文章が下手糞でたいそう読みづらいが,一読の価値はあると思う。脳みそのしわを増やしてくれたことに感謝して星は3つとしておく。
ISBN:4309014372 単行本 綿矢 りさ 河出書房新社 2001/11 ¥1,050

綿矢 りさ 著 「インストール」 ★★★

女子高生と小学生が風俗チャットでひと儲け。押入れのコンピューターからふたりが覗いた“オトナの世界”とは!?最年少・17歳、第38回文芸賞受賞作。


綿矢作品2作目です。たった1作で評価を決めるのは失礼だなと,そして時折みせた秀逸な文章を今作でも期待をし,今後も追いかけるべき作家かどうかを判断するために借りてみた。(偉そうな)

え〜と,結論から言ってしまうと「さようなら」ってことで,今後よっぽどのことがない限り読むことはないでしょう。「蹴りたい背中」よりかは楽しめたんだけど,なんかパンチが足んないんだよね。章ごとに構成されていないので,なんかダラダラとした展開のまま最後まで行き着いてしまって,結局最後は「それで・・・?」っていう微妙な感想を持つだけに終わってしまう。
それでも本作でも「おぅ!」ってな文章を見ることができたので,才能というかセンスはあるんでしょう。ただ,まだ若すぎて文章に遊び心というかこなれたモノを見せられるまでには至ってないのでは思うのだけどどうなのですかね?
ISBN:4488426034 文庫 加納 朋子 東京創元社 2001/02 ¥567

加納 朋子 著 「掌の中の小鳥」 ★★★☆

ここ<エッグ・スタンド>はカクテルリストの充実した小粋な店。謎めいた話を聞かせてくれる若いカップル,すっかりお見通しといった風の紳士,今宵も常連の顔が並んでいます。狂言誘拐を企んだ昔話やマンションの一室が消えてしまう奇談に興味はおありでしょうか?ミステリがお好きなあなたには,満足していただけること請け合い。―――お席はこちらです。ごゆっくりどうぞ。


鯨統一郎の「邪馬台国はどこですか?」と同じような舞台。そういえば版元が同じだな〜。どっちが面白いかといえば,こっちの方が断然面白い。まぁ話の内容は全然違うんだけれども・・・。

前にも書いたけど,この人の書く文章ってホント心地よくて吸い込まれていくのね。ココ最近の眠気も吹っ飛ばしてくれる面白さと,癒しもくれる加納朋子らしいナイスな一冊でした。
ISBN:4309015700 単行本 綿矢 りさ 河出書房新社 2003/08/26 ¥1,050

綿矢 りさ 著 「蹴りたい背中」 ★★

『インストール』で文藝賞を受賞した綿矢りさの受賞後第1作となる『蹴りたい背中』は、前作同様、思春期の女の子が日常の中で感受する「世界」への違和感を、主人公の内面に沿った一人称の視点で描き出した高校生小説である。長谷川初実(ハツ)は、陸上部に所属する高校1年生。気の合う者同士でグループを作りお互いに馴染もうとする…


意 味 分 か ら ん 。

ポカーンってな感じ。

どのあたりに面白さを見出せばいんでしょ?

女の子であったら,共感できるところがあったのでしょうか?
それとも若いときの気持ちを忘れてしまったのでしょうか?
そもそも私に純文学(?)を理解するセンスが足りないのでしょうか?

兎にも角にも良く分からんかったが,芥川賞を受賞するからには,また多くの支持者がいるのだから良い作品なのでしょう。
ということで,星は2つということにしておく。
ISBN:4062649276 文庫 西澤 保彦 講談社 2000/06 ¥650

西澤 保彦 著 「麦酒の家の冒険」 ★★

ドライブの途中,四人が迷い込んだ山荘には,一台のベッドと冷蔵庫しかなかった。冷蔵庫には,エビスのロング缶と凍ったジョッキ。ベッドと96本のビール,13個のジョッキという不可解な遺留品の謎を酩酊しながら推理するうち,大事件の可能性に思い至るが・・・・・。ビール党に捧げる安楽椅子パズル・ミステリ。


相変わらず眠くて仕方ない。なんで,軽快に読めるだろうと西澤作品にしたのだが見事に裏切られた。

タックシリーズ中心人物の4人のトークは別に問題ない。だが,長編で推論のオンパレードを畳み掛けられると退屈極まりない。少ない事象で多くの推論を考え出した作者には悪いが,こういうのは短編で凝縮した推論だけで展開していってほしい。登場人物の色づけもあるから仕方ないのかね。

ビールなんて発泡酒以外ならなんでもいいですから〜♪残念!!
山崎レモンソーダ割りに嵌り中斬り!(切腹!!)
ISBN:4061822950 新書 高田 崇史 講談社 2003/01 ¥882

高田 崇史 著 「QED 竹取物語」 ★☆

"高群山の姫笹様は・・・・・滑って転んで裏庭の,竹の林で右目を突いて,橋のたもとに捨てられた"。不吉な"手毬唄"が残る,奥多摩は織部村。この村で,まるで唄をなぞったような殺人事件が発生。崇は,事件の本質を解き明かすべく,「竹取物語」の真実から「かぐや姫」の正体にまで迫る。まさに「QED」の真骨頂!


師走に突入し朝夜の冷え込みもきつくなってきた。そんな季節の電車の中では読書よりも,暖房の効いた車内での睡眠が最優先される・・・・・。このような時は深く考えなくてもいい本であるか,若しくは睡魔すら吹っ飛ばす熱中できる本が必要なのだが,そんなときに薀蓄本を読んでしまった。

睡魔と闘いながら,延々と語られる薀蓄・お酒(カクテル)のあーだこーだといった興味をそそられない話に,もうイッパイイッパイなのでした。最後の最後でミステリとして上手く着地をしたことと薀蓄によってある程度の知識を広げられたことを評価して最低点だけは免れる格好となった。もう少し集中して読んでいたら,こんな点数ではなかったのかもしれないが,なんとも読んだ時期が悪かった。
ISBN:4104715018 単行本(ソフトカバー) 中野 独人 新潮社 2004/10/22 ¥1,365

中野 独人 著 「電車男」 評価外

電車内で暴れる酔っ払いから若い女性を救った,ヲタク青年。女性に円がない彼は,彼女をデートに誘うべく,モテない男たちが集うインターネットのサイトに助けを求める。いしつか「電車男」を呼ばれるようになった彼に,出来る限りのアドヴァイスを与え,時に叱りながらも暖かく見守る仲間たち。熱い励ましは「電車男」に勇気を与え,彼女との距離を一歩一歩縮めていく。「電車男」は果たして意中の彼女に告白できるのか?
読む人全てを熱い共感の渦に巻き込む,リアル・ラブ・ストーリー!!


これ借りて読んだんだ。電車男そして書き込みしてたオマイラごめん。これは買って読むべきだったな・・・。

別にいいんだ。これが”やらせ”だったとしても・・・・・。

嗚呼,なんだか学生時代の甘酸っぱい記憶が甦ってきたよ。

ココ↓で全部よめるよ。
http://www.geocities.co.jp/Milkyway-Aquarius/7075/trainman.html
ISBN:4575509701 文庫 荻原 浩 双葉社 2004/10 ¥760

荻原 浩 著 「誘拐ラプソディー」 ★★★★

伊達秀吉は,金ない家ない女いない,あるのは借金と前科だけのダメ人間。金持ちのガキ・伝助との出会いを「人生一発逆転のチャンス?」とばかりに張り切ったものの,誘拐に成功はなし。警察はおろか,ヤクザやチャイニーズマフィアにまで追われる羽目に。しかも伝助との間に友情まで芽生えてしまう―――。はたして,史上最低の誘拐犯・秀吉に明日はあるのか?たっぷり笑えてしみじみ泣ける,最高にキュートな誘拐物語。


このごろ誘拐モノが多いなー。岡嶋二人の「99%の誘拐」では,緻密に計算された誘拐劇であったのに対し,本作では真逆な展開で,その場にガキがいたからっていう理由で誘拐を敢行してしまうドタバタ的な誘拐である。天藤真の「大誘拐」では,一応計画された誘拐ではあったが,本作とは犯人のボケ具合や誘拐されてる本人のズレ具合がとても似ている。ようするに笑えるのだ。そういった軽い展開でサクサク読める+αで,場所が埼玉県で所々に出てくる地名をぜん〜ぶ知ってたりしたのが,この話にのめり込めた点で,とっても良かったかな。
ISBN:4061822179 新書 森 博嗣 講談社 2001/11 ¥1,029

森 博嗣 著 「そして二人になった」 ★★★★

全長4000メートル,世界最大級の海峡大橋を支える巨大なコンクリート塊"アンカレイジ"。その内部の《バルブ》と呼ばれる空間に,科学者,医者など6名が集まった。通信システムが破壊され,「完全密室」と化した《バルブ》内で起こる連続殺人!最後に残ったのは,盲目の天才科学者と彼のアシスタントだった。


惜しい。実に惜しい。森作品では久しぶりに興奮した作品だったのに・・・。最後がなぁ〜,なんでそうなるのっ!ミステリとしては,これまでのどの作品よりも抜きん出てると思う。それだけに,この森らしい結末を今作においてはやめて欲しかったよ。森らしいといえば犯人の動機ね。今作において犯人はなんと「動機は言いたくない」とか言ってるのよ。ねぇ,これってどうなのよ。動機を重要視する人にとっては憤慨ものだろうなー。まぁ私も動機なんかどうでもよいと思っているほうだし,森作品に慣れてしまっているので,別にどうでもよいのだけどね。
ISBN:4048733907 単行本 乙一 角川書店 2002/07 ¥1,575

乙一 著 「GOTH―リストカット事件」 ★★★

森野が拾ってきたのは,連続殺人鬼の日記だった。学校の図書館で僕らは,次の土曜日の午後,まだ発見されていない被害者の死体を見物にいくことを決めた。話題騒然の若き天才乙一の初の単行本!


なんていうのかな?ホラー系ミステリでよいのかしら。
切ない系と評される一方で,こういったホラー系も書く作家さんだというのは知っていたけど,やっぱり乙一さんには,角川スニーカー文庫のような切ない系のお話をもっと書いて欲しいです。

連作短編小説となっていて,最後にミステリとしての結末は用意してあるのだけど,あんまり読後感は良くはありませんでした。それぞれのお話は良いのだけれども,連作集としての流れは何かぎこちないものがあったような感じがします。総じて満足したとは思うのだけれども,やっぱりホラー系は苦手なんで採点は低くなってしまうのです。残念!波田陽区かっての。ボソッ
ISBN:4344004906 単行本 貫井 徳郎 幻冬舎 2004/03 ¥1,680

貫井 徳郎 著 「さよならの代わりに」 ★★★☆

劇団“うさぎの眼”の看板女優が,上演中に控え室で殺害された。事件と前後して現れた,真犯人の存在をほのめかす謎の美少女。駆け出しの僕は,彼女と共に事件の真相を追い始める。彼女に振り回され,時折見せる曖昧な言動に戸惑いながらも,僕は,その不思議な魅力に次第に惹きつけられていく。しかし,彼女は,誰にも言えない秘密を隠していた―――。


う〜ん,貫井ということで星3.5ってところかな。
ミステリとしては,なんの捻りもなくて今まで貫井作品を読んできた人は,あまりのあっけなさに戸惑うかもしれない。ジャンルとしては,恋愛SFミステリとでもいえばいいのだろうか。とにかくいろいろ詰め込んでいてお得のような気がするが,やっぱり詰め込みすぎはよくないようで,どれも中途半端なのが少し残念だった。SFとしてはタイムトラベルで定番なんだけど,その中にインターネットやらプリペイド携帯やらがでてきて,テクノロジー全盛の時代になったなかで,SF作品としての新境地を開いた感じがした。恋愛の方は,・・・・・です。本の帯に"長谷川京子"が,『「またね」,その凛とした別れの言葉の切実さに,涙がこぼれました」』って,あるけど,これ本当にそう思いましたか?なんだか,セカチューの柴咲コウのような二番煎じを狙ったとしか思えないよ。幻冬舎の策略でしょうな。あれこれいいながらも,そこそこの満足感は与えてくれたので良しとしよう。
ISBN:4061854011 文庫 法月 綸太郎 講談社 1993/05 ¥620

法月 綸太郎 著 「頼子のために」 ★★★☆

「頼子が死んだ。」十七歳の愛娘を殺された父親は,通り魔事件で片付けようとする警察に疑念を抱き,ひそかに犯人をつきとめて相手を刺殺。自らは死を選ぶ―――という手記を遺していた。手記を呼んだ探偵法月倫太郎が,事件の真相解明にのりだすとと,やがて驚愕の展開が!精緻構成が冴える野心作。


これも某書店でめちゃくちゃ平積みされていた本。ポップと付箋に店員の熱いメッセージが寄せられており,その熱意に負けたというわけだ。ただ買ったのはその店じゃなくて,BOOK OFFの105円棚というのが私らしいか・・・。

結果的に見事に騙された。見事な構成にしてやられたのも確かだけど,これはこの本を手に取った瞬間にもう騙されていたわけですね。「頼子のために」って・・・。この小説名のせいで,いらぬ先入観や想像が脳内を渦巻いていてしまい,また冒頭の60ページにも渡る手記によって,作者の罠に完璧に嵌ってしまった。

まぁなかなか面白かったよ。某書店に店員さん,ありがとさん!

評価の基準

2004年11月14日
感想が辛口のようなので,基準を明確にしておこうと思う。

評価は★★★★★の5段階を基本とし,判断に迷った場合にという中途半端な数値を入れることとする。

:金返せ!と叫びたくなる焚書。
★★:時間を無駄にさせた凡書。
★★★:良くも悪くもない平均的作品。
★★★★:人にお勧めできる秀作。
★★★★★:出会えて幸せだった傑作。

これを機に,サイト名を「オレ流@書評」へと変更した。
あくまで「オレ流」なので,苦情などはゴメン被る(笑)
ISBN:4061822500 新書 西尾 維新 講談社 2002/05 ¥1,029

西尾 維新 著 「クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識 ★★★★

鴉の濡れ羽島で起こった密室殺人事件から二週間。京都,私立鹿鳴館大学。「ぼく」こと"戯言遣い・いーちゃん"が級友・葵井巫女子とその仲間たちと送る日常は,古都を震撼させる連続殺人鬼"人間失格・零崎人識"との出会いによって揺らめき脆く崩れ去っていく―――。そして待ち受ける急転直下の衝撃。一つの世界が崩れる"そのとき"を描ききった新青春エンタの傑作!


ますます森博嗣に似てきたという印象。作風をパクッてるとかいうつもりは毛頭ござらん。面白ければそれでよし!

事件の真相に至る推理で「おいっ,ちょっと待て」とな所が,あるにはあったのだけど,冷静に考えてみると「まぁ,ギリギリセーフ」かなと思えたんでコレはよし。だけど,「x/y」の謎は分からんよな〜。いろんなサイトで調べて意味は分かったんだけど,なんとも納得いかない。こんなの分かった人いるんだろうか?

このイラスト。2作目ですでになれた。不思議なもんで慣れてしまうと,いろんな想像ができて楽しかったりする。それでも表紙前回にして電車の中で読むのは抵抗があってカバーをつけてるんですがね・・・・・。
ISBN:4062736837 文庫 金城 一紀 講談社 2003/03 ¥470

金城 一紀 著 「GO」 ★★★

僕は何者?日本で生まれ,日本で育ったけれど,僕は《在日》と呼ばれる。元ボクサーの親父に鍛えられ,これまで喧嘩二十三戦無敗。ある日僕は恋に落ちた。彼女はムチャクチャ可愛らしい《日本人》だった―――。軽快なテンポとさわやかな筆致で差別や国境を一蹴する,感動の青春恋愛小説。直木賞受賞作。


この著者本人が《在日》の方なのでしょうか?実際にどうなのかは知らないけど,そう思わせるような筆致だった。まぁ,国籍がどこであろうと小説の良し悪しに関係はないんですが。

あまり恋愛小説とかは読まないんだが,直木賞受賞作ということで手に取ったんだけど,良くコレで受賞できたなというのが本音です。そんな作中で主人公の親父が良い味だして良かった。不器用ながらも我が子のことを真剣に考えている様がひしひしと伝わります。こういう体当たり的な親子の触れ合いも良いなと思ったのでした。
ISBN:4575234990 単行本 雫井 脩介 双葉社 2004/07 ¥1,680

雫井 脩介 著 「犯人に告ぐ」 ★★★★☆

「犯人よ,今夜は震えて眠れ」
連続児童殺人事件―――姿見えぬ犯人に,警察はテレビ局と手を組んだ。史上初の,劇場型捜査が始まる!
横山秀夫 幹が太く,枝葉の繊細さが心に絡みつく警察小説だ。
福井晴敏 メディアという暴力装置と真っ向から取り組み,汚濁の中に一縷の希望を見出そうとする。この作品で著者は新たなステージに立った。
伊坂幸太郎 二章まで読み終えた僕は,最高だねこれは,と興奮し,つづきが気になりあまり,風呂場でも読んだのでした。


「読者よ,震える指でページをめくれ!」てな具合ですかね。

警察のドロドロした内情,事件に巻き込まれた一家の心情,視聴率至上主義なテレビ局の思惑,個人の名声・保身など,さまざまな点においてスポットを当て,そしてそのすべてに緻密な描写をほこる警察小説とひとくくりにできない,究極のエンターテイメント小説です。

唯一つ不満なのは,犯人に結びついた最後のアレ。あれだけ引っ張っておいて,あんな都合の良いような展開にしてしまったのは,ちょっと拍子抜けって感じでがっかりした。それさえなければ,今年3作目の満点がだせたのにな。ホント惜しかったです。
ISBN:4043540019 文庫 西澤 保彦 角川書店 2000/05 ¥600

西澤 保彦 著 「彼女が死んだ夜」 ★★★☆

門限はなんと六時!超厳格教育で育てられて箱入り娘のハコちゃんこと浜口美緒。両親を説得し,やっとのことでアメリカ旅行の許可を得た。両親の目を盗んで大学の仲間が壮行会を開いてくれた出発前夜,家に帰ると部屋に見知らぬ女性の死体が!男性陣が駆けつけると,こんなトラブルに巻き込まれて旅行が中止になってしまっては,と興奮したハコちゃんは,喉にナイフを当ててこういった。「この死体を捨ててきてくれなければ,わたしは死ぬゥ!」とんだ難題の処理が大事件に発展し・・・・・。タック,タカチ,ボアン,ウサコ,キャンパス四人組が挑む第一の事件。長編本格ミステリ!


綺麗に組み立てられた西澤らしい作品でした。最初,ハコちゃん家に死体が捨てられていたってのは,話を切り出すための強引な手段だったのかと思っていたら,そうじゃなかったんだよね。そこに死体があるのもちゃんと必然としたものだった。話はキャラが立っていてテンポ良く進むんだけど,なんとなく行き着く先が予想できてきてしまい,そしてホントそのとおりに落ち着きそうになってきたから「な〜んだ」って思ってたら,最後の最後に予想を超えた"どんでん返し"が用意されていた!これにはびっくり!!がっかりさせた後に,こんな仕掛けを用意しておくとは憎いねっこのぉっ。

気合だー!

2004年11月2日
風邪―あいかわらずだったりする。
そんな中,地獄の2日をなんとか乗り切った。熱だしながら(測ってないけど多分あるはず)気合で乗り切った。11月はアホかっちゅーくらい仕事が忙しくて,風邪を引いて熱をだそーが,地震で家が倒壊しようが,親が急死しようが年休なんか取ってられんのだ。風邪引きの兆候があったので,来週ヤバイかもって伏線を張ってたら,お隣の課長様に「点滴打ちながらでも絶対にこいっ」ちゅー大変ありがた〜いお言葉を頂戴してたので,病態に鞭打って仕事してきたよ。何かこのときは,オレってエライ!サラリーマンの鏡!とか思っちゃったよ。タハハ。

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